資本金が増えると税金はどうなるのか?

資本金はいくらでも良くなったが

私が独立した27年前は、株式会社は最低でも資本金は1,000万円、有限会社でも300万円は必要で、そのお金を集めるのに苦労したものです。

しかし、平成18年の新会社法により、資本金の額は問われなくはなったので、今では資本金0円でも会社は作れます。

すでに破綻をしましたが、社長が「マネーの虎」として有名だった生活倉庫も資本金0円でした。

一方で、資本金の額が必ずしも会社の安全性を表すとは言いませんが、その会社の第一印象としては、やはり資本金の金額や従業員数で会社の規模を判断しがちなのは事実でしょう。

では、資本金を増やしていくと法人に対する税金の取扱いはどう変わるのか?

今回は、法人に対する税金の取扱いが変わる「資本金の壁」についてまとめてみようと思います。

資本金の金額が小さい=弱者なので優遇して保護を

一言でいうと、税法上、資本金の金額はできるだけ小さいほうが有利です。

というのも、国は、資本金の金額が小さい=弱者であるとして優遇し保護をすべきだと考えているからです。

「税制は大企業優遇だ」という方もいますが、実際には、むしろ中小零細企業者のほうが優遇されています。

なにせ、上場企業であった吉本興業が、今では減資までして資本金1億円にすることで「中小企業」になっているくらいですから。

その優遇度合は、資本金の額に正比例しているわけではなく、一定金額以下であれば優遇が受けられるという「資本金額の壁」があるのです。

ですから、特にその資本金額の壁の前後では、あえてその壁を超えてまで資本金額を大きくする理由があるのかを慎重に考える必要があるでしょう。

1,000万円”未満”の壁

(1)新設法人の消費税の納税義務免除

新設法人については、原則として事業開始後2期間については消費税の納税義務は免除されています。

しかし、資本金額が1000万円”以上”の法人については、この特例の対象外であり、設立初年度から消費税の納税義務者となります。

*資本金1,000万円未満でも設立当初から消費税の納税義務が生じるケースもあります。

納税義務の免除|タックスアンサー

新設法人でも消費税の納税義務があるケース|特定新規設立法人

1,000万円”以下”の壁

(1)法人住民税均等割の軽減

住民税には、赤字か黒字かに関わらず課税される均等割というものがあります。

この均等割の金額は資本金額が1000万円を超えた段階で金額がアップします。

均等割額に関する明細書|東京都

3,000万円”以下”の壁

(1)設備投資の税額控除の選択

中小企業が一定の設備投資をした場合、通常の減価償却の範囲を超えて一定の金額の減価償却が可能な「特別償却」に加え、資本金額が3000万円以下ならば取得価額に一定割合を乗じた金額を法人税から控除できる「税額控除」の選択が可能です。

中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|タックスアンサー

1億円”以下”の壁

(1)留保金課税の選択不適用

一定金額以上の内部留保を蓄積した場合には、通常の法人税に加えて、内部留保金に一定の率を乗じた「留保金課税」がされますが、資本金額が1億円以下であれば、その適用が免除されます。

特定同族会社の特別税率|タックスアンサー

(2)中小法人の軽減税率の適用

課税所得全体に約30%の法人税等が課税されますが、資本金額が1億円以下であれば、課税所得800万円以下の部分について約20%に軽減がされます。

法人税の税率|タックスアンサー

(3)設備投資の特別償却

資本金額が1億円以下の中小企業は一定の設備投資をした場合、通常の減価償却の範囲を超えて一定の金額の減価償却が可能な「特別償却」が可能です。

中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|タックスアンサー

(4)交際費の損金不算入額

本来、交際費は全額損金不算入ですが、資本金額が1億円以下であれば、800万円までの金額についてその支出全額が損金算入できます

交際費等の範囲と損金不算入額の計算|タックスアンサー

(5)欠損金の繰戻し還付

前期が黒字で法人税の納税をし、今期赤字になった場合には、その赤字と黒字を相殺し、前期に納めた法人税の全部ないし一部を還付を受けることができます。

制度としてはあるのですが、実際に利用ができるのは資本金額が1億円以下の法人についてであり、資本金1億円超の企業では「原則」として凍結されています。

欠損金の繰戻しによる還付|タックスアンサー

(6)少額減価償却資産の一括損金算入

取得価額が10万円以上の資産を取得した場合、固定資産として減価償却により損金算入をすべきですが、資本金額1億円以下であれば、取得価額が10万円以上30万円未満の資産は一括して損金算入が可能です。
(合計金額が300万円まで)

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|タックスアンサー

(7)貸倒引当金の計上

資本金額が1億円以下であれば、将来の債権回収不能に備えて債権額に業種ごとに定められた一定割合の乗じた金額の貸倒引当金の繰入が可能です。

一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定|タックスアンサー

(8)欠損金の繰越控除の制約免除

欠損金については、翌年以降発生した所得の80%を限度としてしか相殺ができないものが、資本金額は1億円以下であれば、その制約がなく翌期以降10期間にわたって所得全額と欠損金を相殺が可能になります。

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|タックスアンサー

(9)事業税の外形標準課税の適用除外

資本金額が1億円を超える法人は、事業所の床面積や従業員数、資本金等及び付加価値の金額に基づき税額が計算される外形標準課税により赤字であっても事業税が課税されますが、資本金額が1億円以下であれば所得に応じて事業税が課税されます。

法人事業税に係る外形標準課税の概要|東京都

(10)法人住民税均等割がさらにアップ

資本金額が1億円超となることで、さらに法人住民税の均等割額がアップします。

均等割額に関する明細書|東京都

(11)税務の所管が国税局ではなく税務署

原則として、資本金額が1億円以下は所管が税務署、1億円超になると国税局となります。

一般的には、税務調査における現地調査は、税務署であれば2-3日程度なのに、国税局の場合には、1ヶ月以上とかなり長くなります。

 

この他にもあるかとは思いますが、いずれにしても資本金額は小さいほうが「税務上」は間違いなく有利です。

信用力が高まるだろうと安易に資本金額を決めてしまった結果、思わぬ形で税負担を増やしてしまうこともあるので、資本金額は慎重に決めたいところですね。

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