中小企業庁が約束手形等の交付から満期日までの期間の短縮を事業者団体に要請
約束手形の期日短縮を経済産業省が要請
商品などの販売代金は、本来、その引き渡しの時点で決済がされるべきものですが、買い手の便宜を図るため、一定期間の取引をまとめて請求がされることがよくあります。
その売掛金が約束の期日に振り込まれることが多いものの、中には、さらにその期日に現金ではなく、数カ月後に支払いをするという約束手形が振り出されることがあります。
例えば、商品を販売してそのひと月後に売掛金の決済日が設定されており、そのときにもらう約束手形の期日が手形の振出日の4ヶ月後ということになると、売り手は、販売代金を手にするのに、商品を納品してから5ヶ月以上もの期間を要することになります。
そして、買い手としては、この約束手形の支払期日までの期間は、できるだけ長いほうが自身の資金繰りがラクになるため、買い手が売り手よりパワーが強いほど長くなる傾向があります。
そこで、中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、約束手形、電子記録債権、一括決済方式による下請代金支払のサイトの短縮を推進してきました。
今回は、その期日をさらに短縮せよとの要請文を各事業者団体に出したとのことです。
2024年11月以降、手形のサイトは60日以内へ
中小企業庁及び公正取引委員会は、1966年以降、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトの手形等を、下請法が規制する「割引困難な手形」等に該当するおそれのあるものとして指導してきました。
それが、2024年11月以降、下請法上の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は、行政指導の対象となるのです。
実際に、流通する約束手形の期日は、120日のものがやたらと多く、120日を超える手形を目にすることは少ないです。
その点からすると、これまでの中小企業庁等の”要請”には一定の効果があったということであり、今回その決済期日を60日以内にせよとの”要請”にも、それなりのインパクトを与えそうです。
なお、手形等のサイトの短縮に取り組むということは、その事業者の資金繰りがタイトになることを意味します。
そこで、中小企業庁は、公正取引委員会と連名で、各産業の業界団体や、金融機関及びそれを監督する省庁等に対し、以下の内容の要請文を発出しました。
・サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とする運用が、令和6年11月1日から始まること。
・ファクタリング等の一括決済方式については、サイトを60日以内とすることに加え、引き続き、一括決済方式への加入は下請事業者の自由な意思によること並びに親事業者、下請事業者及び金融機関の間の三者契約によることを徹底すること。
・下請法対象外の取引についても、手形等のサイトを60日以内に短縮する、代金の支払いをできる限り現金によるものとするなど、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化に努めること。とりわけ、建設工事、大型機器の製造など発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、発注者は支払い手段の適正化とともに、前払い比率、期中払い比率をできる限り高めるなど支払条件の改善に努めること。
・手形等のサイトの短縮に取り組む事業者からの資金繰り支援の相談に丁寧かつ親身に応じるとともに、事業者の業況や資金需要等を勘案し、事業者に寄り添った柔軟かつきめ細かな資金繰り支援に努めること。
約束手形等の交付から満期日までの期間の短縮を事業者団体に要請します (METI/経済産業省)
ピーク時である1990年代から約30年で、約束手形の総残高は約4分の1に減少したと言われていますが、未だに、製造業、卸売業、建設業では、この約束手形を用いた代金決済がよく行われています。
それらの事業者については、2024年11月以降は、約束手形の決済期日が60日以内にすることを務める必要があることを理解し、得意先へ支払期日短縮の要請したり、自身が発行する約束手形の期日についても注意をするようにしましょう。
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