【長編】なぜ夜中まで働いてもカネが残らないのか:その11

11, 銀行のタテマエとホンネを理解していたのか?
ふと目を留めたティッシュペーパーには、
消費者金融の広告が踊っていた。
「さすがにこれはないな」自嘲気味に笑いながらも、
頭の中は金のことで一杯である。
ふと、ネットで「借入」「資金調達」などの
キーワードで検索をしてみた。
一番上に表示されたページにアクセスしてみる。
「ご存知ですか?新規起業者の方でも借りられる融資があることを!」
と言う大きな文字が目に入った。

スポンサードリンク



どうも、政府系の金融機関が、
民間金融機関と違って起業者にも金を
貸してくれる制度があるらしい。
「これだ!」そのホームページのコンサルティング会社に電話をし、
その足ですぐに会社に向かったのだ。
「いらっしゃいませ」
とてもよい対応だ。
担当の女性コンサルタントが笑顔で出対応してくれる。
「そうですか、ひどいですね民間金融機関は。
そういう方のために政府系金融機関が
創業支援資金という融資を行っているんです。」
「もちろん条件はありますが、
それを満たせるのであれば是非申し込んではいかがですか。
面倒な事業計画書もうちでお手伝い致しますから。」
「地獄に仏」とはこういうことを言うのかもしれない。
「ありがとうございます!本当に助かりますよ。」
なんで今までこんなことに気がつかなかったんだ。
しかし、女性コンサルタントは単なる仏ではなかった。
「それでは融資コンサルティング費用を前金で20万円頂戴致します。」
「ええ?20万円!それもまだ融資が実行されていないのにですか?」
拓海は一気に現実に引き戻される。
しかし、背に腹は替えられない。
20万円支払っても融資が受けられるならばそれでいいじゃないか。
一度コンサルティング会社を出た拓海は、
ポケットティッシュの消費者金融に携帯で電話をした。
20万円を作った上でこのコンサルタントに任せることに躊躇はなかった。
まあいい、なんとしてもシオックスへの納品をしないわけにはいかないんだから。
1週間後政府系金融機関から電話があった。
その電話に拓海は凍り付いた。
「残念ながら今回はご融資できません。」
「えっ、条件は満たしていると聞いたのですが。」
それだけ言うのが精一杯だった。
「条件は確かに満たしておりますが、
なにぶん新規開業者の倒産リスクが高く、
審査の結果ご融資はできないことになりまして。」
銀行員の声が遠くに聞こえた。
ちょ、ちょっと待ってくれ。
何だったんだ、あの20万円は。
急いで融資手続きをしたコンサルティング会社に連絡をした。
「どうなっているんだ!20万円を支払ったのに
融資はうけられなかったじゃないか。」
「もういい、とりあえずあんたに支払った20万円だけでも返してくれ。」
1週間前は仏に見えた女性コンサルタントは冷静に応えた。
「私どもは融資のコンサルティングと資料作成を業務としております。
その時も融資の実行をお約束するものではないとお話したはずですよね。
吉田様から頂いた申込書にも了承しておられるというサインまでありますよ。」
拓海は呆然とした。
確かにそんな説明もあったような気もする。
しかし、あのときはもう融資を受けることしか頭になかったのだ。
シオックスへは納品が出来ない。
俺に残ったのは、残高50万円のカードローン、
消費者金融の借金20万円、
そして彼女の結婚資金300万円を使い込んだと言う汚名だけじゃないか。
何やっているんだ。おかしい、なんでこんな結果になったのだ。
大きな受注も取った。
それに夜中まで働いたのになんでこんなに
カネで苦労をしなくちゃいけないんだ。
拓海は重い足を引きずりながらも家路につくため、
駅のホームへと吸い込まれていった。
★ポイント 制度上融資が用意されているからといって、
利用出来るとは限らない。
特に起業者向けの融資は、タテマエと違い実行される例は極めて稀と考えるべき。
【編集後記】
この間、タイヤに傷が付いているので
ディーラーに持っていったところ、
「念のため交換した方が良いでしょう」とのこと。
ただし、一本65,000円
車は、初期投資額だけでなく
ランニングコストも考えて購入しましょう。

9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中

「減価償却で節税しながら資産形成」
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」

すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を