リスク嫌いのための「日本全力一点買い」という偏ったポートフォリオを補正する資産運用

リスクを回避するための資産運用

金融庁が公表した「老後2000万円年金じゃ足りません」というデータが話題になりましたが、90歳すぎまで年金だけで十分暮らせるわけもないことは、誰でもわかっていたはず。

「よりよい暮らしがしたければ、若いうちからもっと積極的に資産運用しましょうよ」という極めて真っ当な金融庁の提案だったのではないかと個人的には思います。

いくら、老後の資金なのでリスクは取りたくないと言っても、今の金利水準じゃ預金のみでその資金の準備をするほうがずっと大変でしょう。

さて、資産運用は、儲かることもあれば、損をすることもあるでしょう。どんなに投資に精通した人でも投資の成果を予測することはできません。

それであれば、資産の運用先もできるだけ広く分散しておくことでリスクを軽減しておく必要があるはず。

そこで、今回は、「より多く稼ぐための資産運用」ではなく、私のようなビビリが「今よりリスクを引き下げるための資産運用」についてお話をしてみようと思います。

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自分全力一点買いのリスクを金融資産投資で分散する

多くの方は、一つの会社に勤めていたり、一つの事業を営む会社を経営していたりするので、収入源はその一社に依存をしていることになります。

いわば、収入源が「自分全力一点買い」なわけです。その会社が倒産したり、自分自身が病気などで働けなくなれば一気に収入源が0になってしまいます。

その「自分全力一点買い」という偏ったポートフォリオを補正するためには、自分の働きとはできるだけ相関の低い収入源を探す必要があります。

その一つの選択肢が、副業であり、新規事業への進出ということかと。

もちろん、それらは有用なことでしょうが、多くの人は、自分の得意な仕事に専念をした方が、新たな収入源を探すよりも、より多く稼ぐことのできる「期待値」は高いはずです。いわゆる「選択と集中」の効果です。

では、この「集中したほうがたくさん稼げる可能性が高い」「分散したほうがリスクは小さい」という二律背反する命題をどちらも満たすためにはどうしたら良いのか。

それは、自分は本業に集中しながら、手間の掛からない別の収入源を確保するということではないかと。

その点からして、「手間の掛からない金融商品投資」というのは、自分の本業へリソースを集中させてより多くの利益を上げることを目指しながら、その「自分全力一点買い」という偏ったポートフォリオを補正することに役に立つと言えます。

オーナー社長という借金での全力一点買い|リスク分散としての金融商品投資

日本以外の株式市場への投資で

では、どのような金融商品に投資をすればよいのか。

まず、できるだけ手間を掛けずに運用をしたいのと言うのであれば、投資先そのものが時が経つと成長をしているものであることが良いことになります。

まるで麻雀のように点棒を奪い合うような「ゼロサム」の市場への投資では、時の運による勝ち負けはあっても、その期待値は1を上回らず、時が経てば勝手にお金が増えていくということにはなりません。

それが、株式市場ならば、世界全体ではまだ成長することが期待できるので、紆余曲折はあるにせよ、放っておいても勝手にお金が増えるという期待ができます。

では、どの株式を購入すればよいのか?

そんなのはわかりません。それがわかれば、私は、人の確定申告書など書いていないです。

ですから、できるだけ広い市場に分散をして投資をする投資信託を選ぶことになるはずです。

さて、多くの日本人は、日本の会社を相手に仕事をしています。

その上、保有する資産の大半が、日本にある不動産という人が多いのではないでしょうか。

つまり、収入源も保有する資産も日本国内に依存した「日本全力一点買い」でもあるのです。これでは、日本経済が低迷すると仕事の収入も減る上に資産価値も目減りしていくことになります。

そういう偏ったポートフォリオを補正するという目的であれば、少なくとも金融商品の投資先は日本以外の株式市場が好ましいことになるのではないでしょうか。

リターンはコントロール出来ないのでコストだけに注視する

有望な市場や会社を見極めその会社に投資をすることができれば、高いリターンを得られるはず。

しかし、S&P社の調査で、「市場に精通したファンドマネジャーが選択して投資をする『アクティブファンド』が機械的に広く分散して投資をする『インデックスファンド』に、ここ15年間では運用成績で9割も負けている」というデータもあるように、いくら資産運用について勉強をしたところでリターンの上昇につながることはほぼないといえます。

少なくとも、その時間があれば、私の場合、税務の勉強をしたほうがずっと稼げる確率は高いです。

一方、コストは誰もが比較することで安いものを見つけることができる。

ですから、選ぶべき株式投資信託としては、「できるだけ分散」「コストが安い」「手間の掛からない」ものになります。

結果的に、「日本全力一点買い」という偏ったポートフォリオを補正することでリスクヘッジを図るのであれば、日本以外の全世界の株式市場に広く投資をするインデックスファンドに自動積立をするというのが合理的ではないでしょうか。

具体的な金融商品のアドバイスはできませんが、私自身は、「ニッセイ海外株式インデックスファンド」に、イデコやつみたてNISAを含めて、法人と個人で毎月自動積立をしています。

ニッセイ海外株式インデックスファンド|楽天証券

選んだ理由は、投資先が日本を除く世界主要先進国の株式であること、販売手数料は0、信託報酬も非常に安く、海外ETFと違って、自動積立ができるということです。

今はもっと信託報酬の安い同種の投資信託があるかもしれませんが、信託報酬値下げ競争により抜きつ抜かれつの状態でさほどの差はなく、それを検討すること自体が無駄なコストだと思うので、投資先をスイッチするようなことはしていません。

投資信託のコスト最安値を追い続けるのはやめよう|資産運用の隠れたコスト

まあ、そこまで分散したつもりでも、世界同時株安だと結局みんな下がっちゃうんですけどね。

いくらまで資産運用をすべきか

では、いくらまで、金融商品投資をすべきなのか。

それは、収入がどれくらいあり、どの程度リスク許容度があるかということかと。

高額で安定的な収入がある人ならば、理論上は、全財産を海外株式インデックスファンドに投資してもまだ偏りがあり、借金までして海外に投資をすることでやっとバランスが取れるという人もいるでしょうから。

なので、いくらまでが適正なのかは人それぞれ。あくまでも、あると思うと無駄遣いをしてしまう余剰資金の運用が基本であり、その範囲内なら別にいくらでも良いでしょう。

なお、「コツコツ積み立てればリスクは小さい」と思うかもしれませんが、取得単価の分散にはなっても、積み立てて投資額が大きくなれば、それに応じて運用成果のブレ幅である「リスク」は大きくなります。

レバレッジなど関係なく、投資額にリスクは比例するのです。

ちゃんと積み立てが進むほど、いちいち運用の成果を気にしていると、働くのが嫌になる日もあるでしょう。

なので、「偏ったポートフォリオを補正するリスク分散のための資産運用である」と決めたのであれば、普段はほったらかしでどうしても必要になった時に現金化すればいいと思っておくのが良いのではないでしょうか。

”資産を動かす”にしても、相場が読めるわけじゃないですし、別にすぐ使うお金じゃないんですから。

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