比率や割合を分析する前に「まずは社長が見るべき3つの数字」

比率や割合よりもまずは絶対額を把握せよ

さて、財務分析と言われるものは、一般に比率や割合で表わされるものが多いと言えます。

比率や割合は会社の問題点などを把握するための有力な数字だとは思うのですが、それよりも前に社長に見て欲しいものがあります。

その答えは、”絶対額”です。つまり、金額の大きさそのもの。

まずは、自社の「ある金額」が十分足りているのかを見て欲しいのです。

では、その「ある金額」とはなんでしょうか?

そこで、今回は「比率や割合を見る前に社長が見るべき3つの数字」について話をしてみます。

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決算書をみる3つの視点

決算書というものは、誰がどんな目的で見るかによって見方は異なります。

主なものには次の3つの視点があります。

それは

(1)債権者の視点

自分が貸した金が無事に帰ってくるのか?

(2)投資家の視点

自分が投資した資金がどれだけの利回りを生むのか

(3)指揮官の視点

過去に採った作戦は正しかったのか

では、オーナー社長はこのうちどの視点で見ればよいのでしょう。

最終的には全部です。

なぜなら、社長は得意先に対する債権者でもあり、自分の資金を投下した投資家でもあり、会社の指揮官でもあるからです。

ですが、最低限、社長の役割として成し遂げなくてはいけないことがあります。

それは、会社を潰さないということ。

そこで、まずは「会社は潰れずにすむのか」という視点で自分の会社の決算書を見ることが必要です。

その視点でみるべき会社の数字は次の3つだと言えます。

(1)現金預金残高

会社が潰れたのは赤字だからではありません。

お金が底をついたからです。

ですから、自分の会社の現金預金の残高がどれくらいあるのかというのは常に把握しておく必要があります。

では、最低限いくらの現金預金残高があれば良いのでしょうか?

それは、「売上高が2ヶ月間0でも資金ショートしない金額」だと言えます。

この場合の2ヶ月の根拠は、トラブル等により一時的に資金繰りがピンチになったとしても、通常2ヶ月あれば銀行が融資に応じてくれるからです。

まずは、資金繰り表を作って売上高が2ヶ月間0でも資金ショートしないために必要な金額を把握し、その金額以上の現金預金を確保するようにしてください。

なお、ここでいう現金預金は必ずしも会社の現金預金として持っていなくても構いません。

オーナー個人の預金やすぐに引き出すことが出来る融資の枠の金額を含めても良いです。

要するにピンチになった時にすぐにかき集めることが出来る金額がここで言う現金預金残高だということです。

*もし、資金繰り表がないようであれば、簡便的に「平均月商の2ヶ月分」の現金預金残高を確保しておくと考えても良いでしょう。

(2)純資産額

純資産額とは資産から負債を差し引いた金額です。

この純資産額が会社を始めた時よりも増えていればその会社への投資は上手く行っている、減っていれば上手く行っていないとひとまずは言えるでしょう。

赤字により純資産が減り続け、負債の額が資産の額を上回ってしまうことを債務超過といいます。

債務超過になったからといって即倒産ということはありません。

しかし、全財産を処分をしてもまだ債務が残るような会社が新たな融資を受けるというのは非常に難しく、債務超過になるということは単なる赤字決算とは意味合いの大きく違うものになります。

結果的に債務超過が解消できないと会社は倒産してしまう事が多いのです。

ですから、会社の存続のためには、なんとしても債務超過は避けたいところ。

そうなると、純資産額というのは「あといくら赤字を出したらうちは債務超過になるのか」という
「赤字を出せる余力」の金額を表すことになるのです。

(3)粗利益額

会社の活動経費は、売上高から売上原価を差し引いた金額である粗利益額から賄われます。

つまり、企業活動に必要な資金を賄うことのできる粗利益額を確保できていないと会社は徐々に衰退していくことになるのです。

では、粗利益額はどれだけ稼いでいればよいのでしょうか。

それには、まず、会社が税金を支払い、借金を返済し、設備投資をしながら将来への備蓄をするのに満足な「目標利益」の金額を算出します。

この目標利益の金額に活動維持のために必要な販売管理費等を加算した金額が、稼ぐべき粗利益額となるのです。

財務分析をする前に、社長はこの3つの自社の数字を把握しておくようにしてください。

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