新型コロナウィルスによる路線価の補正|期限後であれば更正の請求で

7/1に2020年度の路線価が発表されたのですが

国税庁は7/1に2020年度の路線価を発表しました。

標準宅地についての対前年比は全国平均で約1.6%増、5年連続での上昇となっています。

一方で、新型コロナウィルスの影響で、リモートワークの推進や経済の停滞によりオフィス需要が減退するなど、今年に入ってから急激な地価低下が起きている可能性もあります。

すでに発表された路線価にはこれらの要因は加味されていないため、このままですと、今年発生した相続や贈与については、税金を実態によりも多く負担することにもなります。

それに対応するため、国は、秋にも路線価の減額調整をする可能性を示唆しているのです。

そこで、今回は、新型コロナウィルスの影響で路線価の補正措置がされた場合どうなるのかという話をしてみようと思います。

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公示地価と基準地価格の時点の違い

相続税や贈与税の課税価格の計算をする際には、市街化区域の土地については、道路一本一本に「路線価」という価格がついており、その路線価に面積を掛けてた金額をベースに一部調整をする形で評価をすることになっています。

この路線価は、その後の売却まで価格がブレるリスクを負うことや現預金に対する流動性の低さなどを考慮し、「実勢価格」よりはやや安く評価されています。

その実勢価格は類似の土地の取引が成立しないかぎりわからないので、相場観を知るため、いくつかの方式により概ね時価とされるものが提示されています。

その一つに「公示価格」というものがあります。

これは、国土交通省の土地鑑定委員会が選定した「標準地」について、1㎡あたりの価格を算出したものです。

路線価は、この公示価格に概ね8割を掛けた金額として計算がされています。つまり、公示価格が増減するとその年の路線価も増減することになるのです。

今回のポイントは、この公示価格の評価の時点がその年の1月1日であるということ。

つまり、今年の路線価は、コロナ禍の前に算出された公示地価をベースに設定されているということです。

その後に新型コロナウィルスの影響で大きく地価が下落した事実があれば、その年の路線価は過大評価されていることになり、相続税、贈与税の負担が実際よりも大きくなってしまう。

そこで、もし、今年に入って地価が大きく下落しているという事実が確認されたときには、路線価について減額補正をするということなのです。

では、どうやって、地価が下落をしていることを確認するのでしょう。

もう一つの時価相当額として「基準地価格」というものがあります。こちらは、各都道府県知事が公表をします。

この「基準地価格」については、評価の時点がその年の7月1日なのです。

ですから、「公示地価」の対象となる「標準地」と「基準地価格」の対象となる「基準地」は同じ土地ではありませんが、この二つの指標を比較することで地価の半年間の趨勢を知ることができる。

その結果、この半年で地価が大きく下落していたことが確認できた地域については、路線価を減額補正するということです。

路線価が補正された場合、更正の請求も

相続税の申告期限は、被相続人の相続開始を知った日から10ヶ月以内とされています。

年の初旬に発生した相続については、路線価発表まではその土地の正確な評価ができず、路線価発表を待ってから相続税の申告をすることになります。

なので税理士としては7月に今まで仮で算出していた相続税の申告業務がこの路線価発表で一気に動き出すことになるのです。

その路線価が秋以降に変更されるということになると、特に1-2月に発生した相続については、申告期限に間に合わないということもあるでしょう。

そのようなケースでは、申告期限までにひとまず7/1公表の路線価をベースに相続税の申告をしておき、申告期限後に路線価が減額された場合には、更正の請求をすることで払いすぎた相続税を還付してもらう必要があるのです。

これは、相当面倒くさいです。

というのも、遺産分割協議については、土地について何らかの基準を置かねば金額算定が出来ないため、路線価ないしその路線価から算出された公示地価相当額をベースにして各相続人が何をいくら相続するかが決定されることが多いのです。

それが、後になって公式に変更されるということになると、せっかくまとまりかけた遺産分割協議をまたやり直すということも。

相続税の申告をやり直すだけでも面倒ですが、相続税申告後に遺産分割協議をやり直すと贈与税が生じる可能性もあるなど、なんとも厄介なことになりそうですね。

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