マスクや非常用の食料品を備蓄したときの購入費用の損金算入時期・課税仕入れの時期は?

実際に使用したときに損金算入が原則だが

税務調査でよく指摘を受けるのがセミナー参加費用。事業年度終了日までに支払いをしており支出日で損金算入をしていたところ、「いやいや、実際にセミナーが実施されたのは翌期になってからなので、当期の損金にはならない」と。

同様に、商品券代や切手などについても、「期末までに未使用な分については貯蔵品として資産計上し、翌期以降、実際に使用した時点で損金算入せよ」という指摘をよくされます。

では、防災の視点で備蓄をした非常食などの防災用品や将来発生する可能性のあるコロナの再拡大に備えてマスクなどを備蓄する場合、それらの支出についてはいつ損金になるのでしょうか?

そこで、今回は、防災のための備蓄用品の購入費用について、いつ損金にすべきなのかという話をしてみようと思います。

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未使用分については貯蔵品計上が原則

消耗品などについては、実際に事業のために使用された日時を持って損金に算入をします。

もし、すでに支出をした金額があれば、期末に実地棚卸しを行い、未使用部分に当たる金額については貯蔵品として資産に計上する必要があります。

ですから、「どうせ税金で取られるくらいなら先に買ってしまえ」と期末に一気に事務用品などを購入したとしても、期末の未使用分についてはすぐには損金算入ができないのです。

しかし、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産について、各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに関しては、取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認めることとされているのです。

つまり、事務用消耗品等については、利益調整の意図で、期末に前倒しで購入をしたようなケースは貯蔵品の計上が必要ですが、それ以外の定期的な購入がされているようなものについては、わざわざ貯蔵品の計上はしなくても良いということです。

ただし、郵便切手や商品券などは、この継続要件を満たした上での「取得時損金算入特例」の対象とはなりません。つまり、切手や商品券については、使用時に損金算入されるべきものであり、期末の未使用分については、貯蔵品への計上が必須なのです。

まあ、実際には、少量の切手であれば指摘はされても修正まで求められるケースは少ない。ただし、商品券については、ほぼ金券ですので、金額の大小に関わらず見つかれば修正を求められることでしょう。

事務用品費等 郵便切手等
原則 使用時に損金 使用時に損金
例外 継続適用で支出時に損金も なし

 

消費税についても支出時の課税仕入れが原則だが

貯蔵品は、在庫が生じる一種の棚卸資産です。

棚卸資産については、消費税の課税仕入れとするのは、その商品の引き渡しがあった日とされます。実際に、使用がされていなくてもです。

ですから、仮に貯蔵品を計上する場合には、税抜金額で計上をすることになるのです。

しかし、郵便切手類の消費税については、原則として「購入時は非課税、使用時に課税」とされています。

ただ、継続して郵便切手類について対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとすることも例外として認められています。

つまり、郵便切手等の未使用分について仮に貯蔵品として計上する場合には、原則は税込金額で計上するものの、継続して支出時の課税仕入れとしているのであれば、税抜金額で計上してもよいということになるのです。

事務用品費等 郵便切手等
原則 取得時に課税仕入れ 使用時に課税仕入れ
例外 継続適用で支出時に課税仕入れも 継続適用で支出時に課税仕入れも

 

なお、郵便切手類が購入時は非課税とされるのは、郵便局や印紙の売渡し場所(コンビニを含む)などで購入をした場合であり、金券ショップで購入した場合には、引き渡しの時点が消費税の課税仕入れの時期になります。

ただ、いちいち購入場所で分けるのも面倒なので、実務上は、上記の「例外」により、どこで購入をしても郵便切手類については、支出時の課税仕入れとするのが一般的です。

ちなみに、印紙については、郵便局や印紙の売渡し場所などで購入をした場合には、消費税の仕入税額控除の対象ではありませんが、金券ショップで購入をした場合には、消費税の仕入税額控除の対象となるのです。

金券ショップで買えば印紙が消費税分だけ安くなるワケ|印紙はどこで買うかで消費税が異なる

非常用食料品は備蓄自体が事業供用に

なんとも面倒な貯蔵品の経理処理ですが、やっとここからが本題です。

災害などに備えた非常用食料品などについては、その消費した時点で損金算入をするのが原則です。

しかし、非常用の食料品などについては、備蓄をすること自体ですでに「万一の際に備える」という事業に共用されたものとして、支出時に消耗品費として損金に算入をすることができます。

同様に、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っても良いことになっています。

では、コロナの再度の感染拡大に備えて従業員用にマスクを事前に購入した場合はどうなるのか。

こちらについて明文の通達はありませんが、「非常時への備蓄」という趣旨を考えると、食料品などと同様に、備蓄をすること自体が事業に供与されたものとして、備蓄用のマスクについても支出時に損金算入は可能でしょう。

さすがに税務署もこれを修正申告せよとは言いづらいでしょうし。

非常用食料品の取扱い|タックスアンサー

今でこそ、平時に近い価格でマスクも入手できるようになりましたが、入手困難時には、苦労して入手したマスクをお客様に無料配布する方も。別にそれを狙ったわけでもないが、おかげで感謝された上にその費用以上に仕事を取れたと。マスクが「最高の販促品」になったわけです。

もう、そういうことは起きずに、早く「あーあ、マスクの備蓄が無駄になったわ」というときがくるといいですね。

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