岸田内閣の定額減税って給付付き税額控除じゃないのですか?|消費税、所得税の抜本的な改革なしならただ名前を変えただけ

目次

高市総理が打ち出した「給付付き税額控除」ってなんだ?

高市新総理が打ち出す「給付付き税額控除」とは、年収や家族構成に応じて最大16万円の現金支援が受けられると想定される制度です。

立憲民主党も同様の給付付き税額控除の導入を提案しており、その制度をざっくりと説明すると、世帯所得に応じた給付を実施するが、まずは、所得税の納税額と相殺をし、相殺しきれない金額については、給付をするというものです。

これは、従来の「所得控除」や「税額控除」は、税金を払う人の負担を軽くするもので、所得が低くて税金をほとんど払っていない世帯には効果が届きにくいという課題を解消するのものだと説明されます。

それが、これまでに実施された「定額減税」との違いなんだと。

あれ?岸田内閣で実施された定額減税は、減税額に満たない税負担しかない世帯には、足りない分の給付はされていたし、税負担のない非課税世帯には別途給付はありましたよね?

だったら、お金をあれだけ配ったのに大不評だった「岸田型定額減税」を毎年実施するだけじゃないのか。

ということは、「給付付き税額控除」なんて「岸田型定額減税」の名前を変えただけでは終わるのでは。

そこで、今回は、給付付き税額控除って本来どんなものなんだろうという話をAIとの対話の中でまとめてみようと思います。

AIは給付付き税額控除は定額減税とは全く別のものだと言い張るが

「給付付き税額控除って、どんなもの?定額減税とはなにが違うの?」とAIに聞くと、「似ているけど、全く別のものなんだ」と言ってきます。

巷での経済学者さんの解説も、そういうものが多いです。

で、その定額減税との違いで挙げられているのが、「定額減税は、税負担をしていない低所得者層には、メリットが及ばない。そこが給付を伴う給付付き税額控除との違い」なんだと。

いや、だから、「岸田型減税は、給付しきれない税額は、別途給付しているよね。」

というと、今度は、「給付付き税額控除は恒久的なものであるのに対して、定額減税は一時的なもの」であることに違いがあるのだと。

いや、だったら「毎年、岸田型定額減税をやれば一緒だよね。」

というと、「定額減税は、減税は税務当局が、給付は自治体がという別の制度として取り組むのに、給付付き税額控除は、税務当局が自動的に給付をするのだ」と

いや、「そんなのは、納税者からすれば、どっちだっていい話。全額給付すればいいのに、その事務負担を会社に押し付けただけで、どっちも結果は一緒だ」

としつこく反論をしていたら、最終的には、

結論(100点)

あなたの指摘の通り、岸田内閣の「定額減税+給付」は、実質的に給付付き税額控除と同様の所得再分配装置です。

違いは“法技術上の処理”にすぎず、

恒久性がない(政治判断で消える)

所得連動の滑らかさがない(断層的支援)

という2点を除けば、再分配のロジックと効果は同じ。

つまり、現実の2024年政策は「名前を変えた給付付き税額控除」だったと評価できます。

ということになりました。

ということは、この給付付き税額控除とやらを導入したとしても、細かい給付額の違いはあるかもしれませんが、あの評判の悪かった「岸田式定額減税」を毎年実施するのと大して変わらないことになるのではないでしょうか?

制度の趣旨は、所得の再分配による格差補正

この給付付き税額控除は、各国で既に実施がされています。

米国 EITC

完全な還付型。就労所得を条件に、低〜中所得の勤労世帯へ税制内で給付(還付)まで完結。

所得に応じた滑らかなカーブで、労働供給の歪みを抑制。

英国/カナダ

税額控除や税クレジットを社会保障と統合(英国は現在 Universal Credit に統合)、連続的な再分配を税・給付の一体設計で運用。

これらの制度の趣旨は、どの国も、マイナスの所得税を認め、所得に応じその給付額を調整することで

再分配効果(Redistribution)
→ 高所得者の税収を低所得層へ還流

格差是正効果(Equality)
→ 市場での所得格差を可処分所得段階で緩和

勤労支援効果(Incentive)
→ 働くことが損にならない制度設計

という効果を狙うものとして設計がされているようです。

複雑になりすぎた消費税、所得税の整理統合としての給付付き税額控除を

一方で、日本では、消費税については、低所得者ほど負担が大きい「逆進性」というものがあるとして、その解消をするために食料品については軽減税率が適用されています。

食料品価格の高騰に苦しむ国民を支援するために、一時的に食料品の税率をゼロにするのだとの主張もされます。

そんなことをしても、高所得者層ほど、高額の食品を使うので、その軽減税率の恩恵を高所得者ほど受けており、逆進性とやらを解消するという効果は薄いか、むしろ逆効果であるとも言えます。

また、所得税については、政治家が人気取りで所得控除の拡大を打ち出しては、財務省がそれを抑制すると言うことが繰り返されてきました。

おかげで、今では、基礎控除や配偶者控除、扶養控除などの人的控除は、税理士でもよくわからないほど、その判定が複雑になっています。

さらに、基礎控除の引き上げが実施されれば、超過累進税率の高い高所得者ほどその恩恵を受けることになるのに、所得再分配、格差補正という点では明らかに逆効果になるはずです。

この給付付き税額控除は、物価高に苦しむ、特に中低所得者層を支援するために実施するのだと高市総理は表明しています。

しかし、現状の制度のまま、給付付き税額控除だけが行われ、その財源をさらなる国債発行に頼るとすれば、結果的に円安やインフレを加速させ、物価高に拍車をかける恐れもあります。

もし、本当に、給付付き税額控除を所得再分配、格差補正のために実施するのであれば、財源の確保のためにも、

「消費税については軽減税率を廃止し単一税率に」

「所得税については人的控除を大幅に整理縮減をする」

という抜本的な制度設計の変更を伴うものでなければ意味がないのではないでしょうか。

この先、社会保障費が2040年には今より50兆円も増えるわけで、消費税の税率アップは避けようがない。

税率アップのたびに、消費税の逆進性が叫ばれるのであれば、非効率な軽減税率ではなく、直接給付でフォローしたほうが良いので、給付付き税額控除の早期導入には大賛成です。

とはいえ、「増税メガネ」と言われるのがよほど頭にきたのか、一年だけなら全額給付したほうが明らかに早いのに、意地でも減税ということにこだわって実施した「岸田式定額減税」。

それが、5兆円もお金を撒いたのに、ちっとも支持されなかったので、今度は、新しい制度っぽい「給付付き税額控除」という新たなバラマキを政治家の人気取りで行おうというのであれば、どうせ財務省が骨抜きにして、大した効果もないのに制度が複雑になるだけなので、もうやらなくていいですわ。

毎回毎回、苦しめられるのは、我ら現場の税理士や経理担当者ですからね。

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