経費精算はここまで合理化できる|AIやRPAでの経理自動化の現実
目次
最も合理化の余地があるのは経費精算
経理業務は利益は産まないもののきちんと機能しないと思わぬ形で大きな損失をもたらす蔑ろにできない業務です。
この経理業務の合理化にはいろいろなアプローチがあるのですが、最も合理化の余地がありすぐにでも手掛けるべきものがあります。
それは、社長や従業員の経費精算です。
そこで今回は、クラウド会計システムの利用により経理精算を合理化する手法と巷で話題のAIでの経理合理化がどの程度までできるようになっているのかについてまとめてみることにします。
今スグ小口現金での精算はやめよう
現場で掛かった経費などについて、その領収証を適宜、というか思いつきで経理担当者に提示し、小口現金で経費の精算をするという行為が、未だに行われている中小企業が多々あります。
その小口現金を合わせるために小口現金出納帳に記帳をしたり、防犯の効果の怪しい手提げ金庫を用意したりと一体何をやりたいのでしょう。
現金は、その管理にも防犯のためにも多額のコストが掛かるのです。
コスト削減のためには、会社には現金がまったくないキャッシュレスが理想、どうしても現金売上入金が生じる会社でもその日のうちにすぐにお金を預金か夜間金庫に預け入れるのが合理的なのです。
クラウド会計システムで経費精算を合理化する
現場の小口現金をなくすには、日々発生する現場の少額経費についての処理を合理化する必要があります。具体的には、次のステップで実行可能かを考えると良いでしょう。
現場経費はできるだけクレジットカードで
クラウド会計システムでは、ネットバンキングのデータやクレジットカードの利用データを読み取り、仕訳生成をする機能があります。
ですから、現場で生じる経費についても、できるだけ法人のクレジットカードで支払うことで、そもそも経費の立替もなくなり、仕訳作成がスムーズになります。(法人カードが理想ですが、個人名義で会社の経費精算専用のカードを作ってもよいでしょう)
「後日送られてくるクレジットカード利用明細と領収証を照合し、二重に経費計上がされないかチェックをする必要があるので、クレジットカードはできるだけ使わない」という方もいるようですが、クラウド会計システムを利用するとクレジットカードでの支払いのほうがずっと経理処理は簡単になるのです。
従業員についても、法人カードを複数発行してもらい従業員に手渡すことで、従業員による経費の立替を回避することも可能です。
もちろん、不正使用等のリスクもありますが、限度額を小さくしてしまえば、そこまで大きなリスクはないですし、会社のカードで使い込みをしてバレるまでに夜逃げをするような大それた犯罪行為をする人も割に合わないのでまずいないでしょう。
少なくともリスクよりもメリットのほうが大きいはず。
例えば、三井住友ビジネスカードであれば、追加発行の年会費は年400円ですし、ETCカードも追加で発行できるのですから。
クレジットカードで支払いができない分はExcelテンプレに
そうは言っても、「キャッシュレス後進国日本」には、現金でしか支払いができない場面が未だに多々あります。
その場合には、やはり一時的に社長ないし従業員に立て替えてもらい、後日まとめて給与と一緒か一定期間ごとに立替分を振り込むという対応が必要でしょう。
しかし、クラウド会計システムは、手入力が苦手です。というのも入力スピードがネットショップで買い物をするくらい遅い。
そのため、例えばMFクラウド会計では、そのままクラウド上で読み取りが可能なExcelのテンプレートを用意しています。
どうしても現金でしか支払いができなかった領収証については、Excelのテンプレートに入力をした上で、クラウド会計システムで読み取り仕訳生成をしてもらうのがよいでしょう。
ただ、Excelテンプレートの入力内容から自動仕訳生成できると言っても、あまりその「自動仕訳生成」機能には期待しないほうがいいです。
ご自慢の「ビッグデータからAIが最適な仕訳を判断する」とかいうのは、間違いだらけですし、「一度どの勘定科目にすべきか設定したことは、次からは自動的に処理ができる」というのも、半角全角が違う程度でも判断を間違うレベルです。
「なんだよ、結局Excelに手入力するんじゃん」と言われそうですが、それでも、直接クラウド会計システムに手入力するよりはラクと思って諦めないと。
現金精算分の経理処理は、どうやったって弥生会計などデスクトップアプリのほうがずっと早いです。
手入力をしたくないのであれば経費精算システムを
現金での支払の件数が多く、Excelテンプレートであっても手入力するのは面倒だと言うのであれば、別途料金を支払って経費精算システムを利用するのも良いでしょう。
例えば、「MFクラウド経費」というシステムを利用すると、社長や従業員がそれぞれ立て替え払いをした領収証をスマホで読み取ることで、すぐに経費精算の申請をすることが可能になります。
ただ、一つ一つの申請には、日付・支払先・金額の確認が必要であり結構手間がかかります。ぶっちゃけ私ならやりたくないくらい。ここで、従業員が嫌がって結局頓挫というケースも予想されます。
そのような場合には、「オペレータ入力」モードという、読み取りだけすれば、あとの日付・支払先・金額の入力確認処理を有料(1件20円)で依頼することもできます。
実際に利用しているうちのお客様のお話では、「そりゃ、お金を払ったほうがずっといい」とのことです。
なお、従業員が経費を立て替えるお金がないというのであれば、一定額を仮払金として事前に支給をしておき、退職時までそのままでもよいのではないかと。
毎月、仮払金と立て替えたお金を精算するというのは結構面倒ですからね。どうせすぐまた仮払金を支払うんですし。
STREAMEDでまとめて経費精算も
いや、社長一人の会社であり、経費精算はまとめてどこかで行えばいい、でも領収証からの手入力は勘弁してほしいというのであれば、STREAMEDという入力代行サービスを使ってみるとよいでしょう。
これは、Scansnapなどのスキャナを使って、領収証をスキャンしたデータを送ると原則一営業日中には、”データ化”してくれるというサービスです。
なお、STREAMEDは、領収証に限らず、紙の預金通帳や請求書からのデータ化も可能なので、決算の時にまとめて経理処理を行うような会社については、省力化に大きく寄与することでしょう。
まあ、STREAMEDは「ロボット記帳」を謳ってますが、実際には、ベトナムで人が頑張って入力しているんですけどね。ロボットなのに、なぜか一営業日のカウントに「時差」があります。
話題のRPA(ロボットによる自動処理)も実際に試した人に聞くと、ちょっとしたことで判断を間違えるので、そのチェックとプログラムの修正にやたらと時間がかかるとのことですし。
未来は感じるのものの現時点での「AIやRPAによる経理の自動化」なんてまだまだそんなもんですよ。
それは置いておくとして、利益も産まないのに工数が多い経費精算は合理化によりコスト削減が大きく期待できる部分です。
クラウド活用による経理処理の合理化は、まず経費精算から取り組んでみてください。
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