Excelで相続税負担を最小にする遺産分割法を見極める

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一次相続・二次相続の二回相続税が掛かる

財産が世代間できちんと移転するには、一次相続(一般には父の相続)、二次相続(一般には母の相続)という二度の相続を経なくてはなりません。

一次相続には、「配偶者の税額軽減」という制度があります。

これは、仮に名義がどちらかのものであっても、財産は夫婦二人で築いたものなので、夫婦間の相続による財産の移転については、税負担を大幅に軽減させるというものです。

この制度を使えば、配偶者は1億6000万円または法定相続分までは、財産を相続しても実質的に無税になります。

配偶者の税額の軽減(タックスアンサー)

つまり、この範囲内であれば、できるだけ多くの財産を配偶者が相続したほうが一次相続での相続税の負担が小さくなることになります。

しかし、配偶者が多額の財産を有してしまうと、累進課税により二次相続での相続税負担が増加してしまい、むしろ一次相続・二次相続を通じてのトータルの相続税負担が増加してしまうことがあるのです。

そこで、今回は、一次相続・二次相続を通じて相続税負担を最小にするにはどれだけ一次相続時に配偶者が遺産を相続すればよいのかを考えてみることにします。

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相続税額はExcelでシミュレーションをする

相続税は、純財産額(財産ー債務等)から基礎控除額を差し引いた金額である「課税遺産総額」を一旦、法定相続分で按分したものとして「相続税の総額」を求めた後、実際に相続した割合に応じて、「各人の相続税額」を求めます。

最適な遺産分割方法を検討するには、一次相続での配偶者の遺産取得額を変化させながら、トータルの相続税負担の変化を確認し、最適値を求める必要があります。

これらを手計算で行うのは、たいへんなので、Excelでシミュレーションをしてみましょう。

使う関数はVlookupくらいなので、それほど難しくはないはず。

(実際には、0で割ってしまうことのエラーが出たりするので、if文で分母が0になる時には計算結果自体を0にするなどの細かい修正はいろいろ必要です)

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後は、いくつかのパターンでトータルの相続税額を比較してみたり、「ソルバー」で最適値を求めたりするという方法が考えられます。

しかし、これでは残念ながら最適な遺産分割額を求めることはできません。

それはなぜかというと、いつ二次相続が発生するのかがわからないからです。

Excelのデータテーブルで代償金と消費現預金ごとの相続税額を比較する

一次相続から二次相続の間に時間があれば、残された配偶者は自身の預金や一次相続で相続をした預金をその生活で消費をしていきます。

その金額がいくらなのかは、生活レベルの影響もありますが、一体いつまで配偶者が余生を過ごすのかに大きな影響を受けます。

これは、誰にも予測ができません。

つまり、二次相続時いくら配偶者が財産を持っているのかは、予測がつかないということです。

そのため、二次相続までにどれだけの現預金を消費するのかをいくつかのパターンで予測をしておく必要があります。

つまり、「二次相続までの現預金消費額」と「一次相続で配偶者がいくら相続をするのか」(ここでは子どもに相続させる金額を「代償金」としています)という2つのパラメータ(変動要素)を組み合わせたパターンでシミュレーションをしていかないといけないのです。

このような2つのパラメータを組み合わせたパターンごとの計算結果を一瞬で求めるツールがExcelには用意されています。

それはデータテーブルというものです。

・データ/What-if分析/データテーブル

使い方としては、まずは2つのパラメータを行(今回は代償金)、列(今回は消費現預金)として計算をしたい金額のパターンをそれぞれ入力します。

その上で、テーブルの範囲をドラッグし、範囲の左上に求める計算結果の算式を入力します。

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次に「行の代入セル」に変化させる行データ(今回は代償金)の範囲、「列の代入セル」に変化させる列データ(今回は消費現預金)の範囲を入れてOKをクリックします。

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すると、2つのパラメータによるパターンの計算結果が一気に計算できます。

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このテータを見ることで、この場合であれば、「いくら現金を消費するかはわからないが、少なくとも1000万円くらいは躊躇なく使って暮らしたい。とはいえ、無駄に相続税を支払うのも嫌なので、一次相続で子どもには1000万円だけ相続させよう」などと遺族自身が選択をできるようになるわけです。

すべてデータを入れ替えて計算結果を記録することに比べれば、テータテーブル機能を使うことで大きな時間短縮になることがわかるでしょう。

シミュレーションは納得するために行うもの

このテータテーブルの結果は、決して最適値を示しているわけではありません。

いくら自分が相続したいのかを判断してもらう材料にしているだけです。

仮に税負担を最小にする遺産分割額が計算できたとしても、決してそれが「こう遺産相続をすべきである」ということでもありません。

なにも相続税の負担を最小にするために遺産相続をしているわけではないのです。

本心では「できれば不安なので、現預金はできるだけ多く相続したい」と思いながらも、「それでは将来の子どもたちの相続税の負担が大きくなって迷惑をかけるのではないか」という葛藤を抱える人は意外と多いもの。

その隠れた心情を汲み取り、「本当の希望はこうだが、それによりどれだけ税負担が増えてしまうのか」を見極めることで、自身の希望が妥当なものか納得してもらうことをサポートする。

そのために行うのがシミュレーションであり、決して税負担が最小となる遺産相続を最適解として提案するためのものではないことを忘れてはなりません。

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