マイナンバー導入で混乱必至の支払調書の取り扱いをまとめてみます

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混乱の兆しが見える支払調書

平成28年1月以降、税金や社会保障関連の書類について一定のものにはマイナンバーの記載が必要です。

税金関連の書類に支払調書というものがあり、こちらは平成28年分=平成29年1月提出分からマイナンバーの記載が必要になるのです。

今までは会計事務所任せで支払調書のことを理解していなかったものの、マイナンバー記載となるとそうもいかず慌てる方もいるでしょう。

今回は、支払調書の取り扱いをまとめておくことにします。

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支払調書とはどんなものか?

支払調書とは、事業者が家賃や報酬、不動産購入などの支出について、その相手先や支払金額を税務署に報告する帳票のことです。

前年一年間の金額が一定金額以上のものを翌年1月末までに提出することが義務付けられています。

支払調書にはたくさんの種類がありますが、提出する可能性が高いのは、支払家賃と税理士・弁護士などの報酬だと思います。

No.7441 「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲(タックスアンサー)

No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数(タックスアンサー)

なお、給与の支払がある場合、一定金額以上のものはその源泉徴収票を税務署に提出することが必要です。

No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数(タックスアンサー)

給与の源泉徴収票と支払調書を併せて「法定調書」と言われます。

税務署には、この一定金額以上の給与と賃料や報酬などを記載した法定調書とそれらを取りまとめた「合計表」を翌年1月31日までに提出をすることになります。

No.7401 法定調書の種類(タックスアンサー)

誰が税務署に報告する義務があるのか?

支払調書の種類ごとに微妙に違いますが、不動産の賃料の支払調書は、法人と不動産業者である個人事業主、報酬等の支払調書はその支払をする人です。

No.7400 法定調書の提出義務者(タックスアンサー)

自宅を購入した際に多額の司法書士報酬を支払った場合などでは、理論上支払調書の提出対象にはなりえますが、事業を行っていない個人は、支払調書の提出を求められることはまずないと思います。

誰に交付する義務があるのか?

法定調書を提出する理由は、ひとことで言えば税務署の税務調査の協力です。

別に支払先に対して、その支払額を証明するためのものではありません。

家賃や報酬について、本来交付義務もないのに慣習的に支払先にこの支払調書を交付することもありますがマイナンバー記載で混乱が予想されるので、悪慣習は早めに断ち切っておくほうが良いでしょう。

マイナンバーも導入されたし、もう支払調書を支払先に交付するのはやめませんか?

マイナンバーをどうやって記載するのか

マイナンバーを記載するには、不動産賃料であれば大家さんから、報酬であれば税理士・弁護士や執筆をした著者からマイナンバーを収集しなくてはなりません。

その際には、単純に番号を聞けばよいのではなく、そのマイナンバーが正しいことを確認できるようマイナンバー通知書のコピーと本人であることが確認できるよう免許証など顔写真入りの証明書のコピーも必要です。

これらの資料を徴収し安全確実に保管をするというのは、事業者にとってみれば非常に大きな負担になることが予想されます。

ぶっちゃけ出さないとどうなるのか?

法定調書の提出は事業者の義務であり、提出をしなければ罰則が法律で定められています。

しかし、現実には、法定調書の提出がないことをもってペナルティが課されたという例はまずないはずです。

1月31日までに提出がないと、提出を促す「はがき」が税務署から届きます。そのまま出さないとまた「はがき」が来ます。それでも出さないと「そのまま」ということが多いようです。

とくに個人事業主の場合、法定調書の提出をすれば翌年も法定調書が届きますが、出さないとそのうちに来なくなったりすることもあります。

個別の支払調書についても、全て網羅的に記載をしないとその金額が事業者の経理上損金や必要経費にならないということはありません。

法定調書の合計表とそこに記載された枚数に合致する法定調書の提出がされていれば、いくつか本来報告義務のある支払調書が抜けていたからといって税務署から指摘が来ることはまずありません。(不動産譲渡等の取引については、提出を促されることがあります)

と「法定調書を出さないとどうなるか」と言われれば実態はこうです。

ペナルティが課されることはまずないですが、いちいち督促されるのも嫌でしょうから、可能な限りマイナンバー収集の努力をして法定調書は出しましょう。

不動産管理会社は大混乱が予想されます

 

平成29年1月から店子さんが大家さんにマイナンバー通知カードと免許証のコピーなどを求めてくることになり、その窓口になるのは管理を依頼された不動産管理会社となるはずです。

店子さんも大家さんもマイナンバーをよく理解していないため、大きな混乱を生じると思います。

いまのうちから大家さんと店子さんに正しいマイナンバーと支払調書の取り扱いを説明しておいたほうが良いでしょう。

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