【相続特集】なぜ、隣の相続はあんなにもめたのか-14:まさに見えない時限爆弾!連帯保証。

「社長、しっかりしてください!」
世界的な服飾デザイナー、
森田洋司が講演会で倒れたのは
夏の暑い日のことだった。
その知らせを受けた長男洋介が
病院に駆けつけた時には、
もう洋司は息を引き取っていた。
脳溢血であった。
「これは、まずいことになった」
洋介は吹き出す汗をぬぐいながらつぶやいた。

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洋司には洋介のほかに愛人との
子供である信司がおり、
会社の株式の相続をめぐって
激しい争いになることは明らかだったからだ。
洋司の率いる株式会社モリタは
完全なワンマン企業。
「遺産相続争いを回避するために
事前準備をしたほうがよい」などと
進言できる役員は一人もいなかった。
当然のことながら遺言などは作成されていない。
案の定、会社の主導権をめぐっての
激しい遺産相続争いは、
格好の週刊誌のネタとなったのだ。
しかし、この遺産相続争いは、
あっけない形で終結した。
なぜなら、洋司が生前に
協力工場たちを救うため多額の連帯保証を
していることが発覚したからだ。
その金額は株式会社モリタの
年商の2年分にもなっていた。
相続税法上この連帯保証は、
借入金と異なり債務として
相続財産から控除は出来ない。
つまり、遺産相続をしてこの会社を
引き継ぐということは、
多額の相続税を支払った上に、
過大な連帯保証を引き継がなくては
ならないことを意味する。
迷わず洋司は相続を放棄し、
自分でブランドを立ち上げたのだ。
一方、信司が相続をした株式会社モリタは、
ゴシップのネタがたたり
ブランドイメージは完全に崩壊。
売上不振のため協力工場が倒産し、
その連帯保証が重くのしかかったため
2年後に倒産をしたのである。
* * *
「連帯保証」についてはご存知のことでしょう。
念のために申し上げると、
「借金をした人が支払うことが出来ない場合には
代わりに支払う」という約束のことです。
正確には、「その人から先にもらえ」という権利も
「借りた人に財産がないか調査してくれ」という
権利もありません。
実質的に「連帯保証人が借りたのと同じ」
と言ってよいほど責任の重い保証なのです。
「この連帯保証というは、相続されると思いますか?」
「連帯保証をしたのは、オヤジ。
自分には関係がないし、
相続の時点ではまだ負債にもなっているわけではない。
そんな不確定なものは相続されるはずがない。」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、おそろしいことにこの
連帯保証というものも相続されます。
連帯保証をした先が死亡後に倒産した場合、
連帯保証をした人の法定相続人が、
法定相続分に応じて債務を支払わなくてはならないのです。
ある相撲の親方が亡くなったとき、
最初は泥沼の遺産相続争いを
していたにもかかわらず、
「急に一人が相続の放棄をしたのは、
実は親方に多額の連帯保証があったため」
との噂もありました。
この噂が事実かどうかわかりませんが、
親方に連帯保証があった場合に
法定相続人に相続されることだけは間違いありません。
これは、ものすごく怖いことです。
というのは、まずその連帯保証に
ついての契約書を連帯保証人自身が
保有していることが少ないからです。
ですから遺族が全く知らないところで
両親が勝手にした連帯保証が、
何のまえぶれもなくある日突然遺族を襲う

と言うことも十分あり得るのです。

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