会社の経費精算は法人のクレジットカードじゃないといけないの?

キャッシュレス決済の環境が一気に進展

国の支援策と各企業のQRコード決済導入のキャンペーンもあって一気にキャッシュレス決済は進展しました。

古いタイプのコインパーキングなど、事業用の諸経費支払いで現金を使わなくてはならない場面は、かなり減ってきていると思います。

では、それらの会社の経費精算をする際には、法人のクレジットカードでないといけないのでしょうか?

そこで今回は、法人カードのメリットを再確認することで経費精算とクレジットカード使用のポイントをまとめてみることにします。

クラウド会計×クレジットカードで領収証保存不要に

電子帳簿保存法の改正により、2020年10月以降、一定の要件を満たすクラウド会計システム上でクレジットカードなどの利用したデータ処理を行った場合には、領収証原本の保存義務がなくなりました。

具体的には

(1)クラウド請求システムを利用した請求書等の発行

(2)クラウド会計システムを利用したクレジットカード・交通系ICカード利用明細からの自動仕訳処理

(3)スマホアプリで領収証を読み取った従業員の立替経費の精算

などが該当すると思われます。

これは、以前から待ち望まれていたことで、これによりキャッシュレス決済をすればクラウド会計により自動で仕訳生成がされる上、領収証の保存が不要になるのですから、経費精算についてはまずはキャッシュレス決済をできる方法をまずは探すということになるはずです。

クラウド請求・会計システムの利用で請求書・領収証の原本保存が不要に|クレジットカード・交通系IC・スマホアプリも

法人クレジットカードのメリット・デメリット

では、会社の経費精算をする場合、使用するクレジットカードは法人カードである必要があるのでしょうか?

まずは、法人カードのメリット・デメリットをまとめてみることにしましょう。

なお、「法人カード」と言われるものは、実は法人格がなくても個人事業主やフリーランスでも発行はできます。そのため、「コーポレートカード」などと言われます。

メリット

・個人使用と分けて経費精算が可能に

・複数枚のカード発行が可能で従業員に配布も可能

・利用限度額が大きいことが多い

デメリット

・ポイント還元率の高いカードが少ない

・年会費が高いことが多い

しかし、これらはクレジットカード会社次第であり、例えば、アメックスカードは法人でも個人と同じ還元率でポイントは付与されますし、個人カードでも与信枠は500万円以上あることも多いです。

与信枠は最終的には、利用者の信用力によるので、必ずしも法人カードだから与信枠が大きくなるともいえないでしょう。

法人カードを配るのが理想だが個人カードでも問題なし

従業員の経費精算の手間を極力省くという目的であれば、法人カードを追加発行して各人に配布をするのが最も合理的です。

そのカードの決済口座を法人の預金口座にしておけば、従業員がお金を立て替えることもなくその精算をする必要もなくなります。

経理処理についても、クラウド会計にそのままつないでしまえば、利用明細から自動で仕訳生成もされるのです。

中には、従業員の不正利用が心配だという方もいるかも知れませんが、明細は必ず会社に来るのでその支払内容について疑念があれば従業員に確認を求めるのは当然のこと。それは、現金でもクレジットカードでも変わりはありません。

勝手に利用して逃げるのでは?という心配までする人もいるのでしょうが、決済金額の上限を数万円にしておけば、この日本で、わざわざ不正利用をして逃げるようなことをする人はいないでしょう。

では、従業員用にクレジットカードを追加発行する場合については、どれくらいのコストが掛かるのでしょうか?

例えば、三井住友銀行カードには、コーポレートカードとして「三井住友ビジネスカード」がありますが、もっともベーシックな「クラシック(一般)カード」ですと、本人の年会費1375円(税込)のほか、1枚につき年440円(税込)の年会費の負担が必要です。

発行枚数の上限が概ね20枚とされていますが、全従業員に配布する必要はなく、出先での経費精算の多い営業や現業担当者に配布をすると考えると比較的利用範囲は大きいのではないでしょうか。

三井住友ビジネスカード

わずか年440円の負担で従業員の経費精算の手間が大きく削減できるのであれば十分価値のあるコスト負担だとは思うのですが、その負担を避けたいとか、もっと多くのカードを使用したいと言うのであれば、従業員個人に経費精算専用として楽天カードなど年会費無料の個人カードを発行してもらうということでもよいでしょう。

この場合には、従業員に対する経費精算を避けることはできませんが、カード利用金額を給与額に上乗せして支払うだけで、個人カードであってもクラウド会計につなげば自動仕訳生成は可能です。

ちなみに、税金の支払いについては、名義は問わないので、個人名義のカードで法人の税金を納税することも可能ですし、家族の税金を支払うことも可能です。

なお、決済金額が大きくなりがちな社長個人の経費精算については、よりポイント還元率のよい個人カードを利用することも可能です。

その際に、クラウド会計につないでしまうと個人使用分も全部見えてしまうので、他の従業員など見せたくない場合には、会社の経費精算専用として個人名義のクレジットカードを作る。

自分一人しかいない会社でそんなの気にしないというのであれば、個人使用分については、会社の損益に影響しないよう「短期借入金」として処理するようにクラウド会計に仕訳生成のルールを教え込んでいけば良いでしょう。

クレジットカードでの経費精算は、経費処理の生産性が一気に向上する上、使い方次第では無視できないほどのポイント還元が得られることもあります。

特に固定費は一度支払い方法を設定するだけで勝手にポイント還元が受けられるのですから、クレジットカード決済をやらないほうがおかしいというものですよね。

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