2024年度からの住宅ローン控除とペアローンについての上乗せ措置の適否

2024年からの住宅ローン控除は大幅縮減

マイホームを住宅ローンで購入した場合、その年末残高に一定割合をかけた金額だけ所得税・住民税から税額が控除される住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

国民の持ち家支援という施策はもう役目が終わったという考えや低金利により住宅ローンの金利負担以上に税額控除の方が大きくなってしまうなどの問題もあり、最終的には原則廃止とされる方向です。

その中で、省エネ基準を満たす住宅については、制度は適用された上、子育て若者世帯のマイホーム取得だけは、その控除額を上乗せすると言っています。

しかし、よく見ると、これらの世帯だけは、従来通りの税額控除を維持するだけなのです。

では、夫婦が連帯して債務を負うペアローンについては、どちらも若者世帯の控除額上乗せ措置は適用されるのでしょうか?

そこで、今回は2024年以降の住宅ローン控除とペアローンの取り扱いについてまとめてみようと思います。

2024年以上の住宅ローン控除の概要

一定の要件を満たすマイホームを住宅ローンを利用して取得した場合、その年末残高に一定割合をかけた金額だけ所得税・住民税の順に控除が可能です。

主な住宅ローン控除の適用要件

・住宅ローンの返済期間が10年以上である

・自ら居住している

・床面積が50㎡以上

・引渡しまたは工事完了から6ヵ月以内に入居している

・居住用割合が1/2以上である

・その年の合計所得金額が2,000万円以下である

このほかに、そのマイホームが新築か既存によりそれぞれ要件が加わります。

マイホームを持ったとき|タックスアンサー

2024年度の住宅ローン控除の改正点

省エネ基準を満たさない新築・買取再販住宅は控除対象外

これまでも、省エネや耐震などの各種の要件を満たした「長期優良住宅」などについては、その住宅ローン控除の上限額を上乗せしていましたが、2024年度以降の「新築」の取得については、長期優良住宅と認定低炭素住宅(認定住宅)、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅のみが住宅ローン控除の対象となり、それらの基準を満たさない「その他の住宅」については、住宅ローン控除の適用は原則としてできなくなりました。

ただし、「その他の住宅」であっても、経過措置として「2023年12月31日までに建築確認を受けている」か「2024年6月30日までに建築されたもの」については、借入残高の上限は2,000万円、控除期間は10年に短縮はされるものの、住宅ローン控除の適用は可能です。

子育て世帯・若者夫婦世帯に対する控除は現状維持

子育て世帯や若者夫婦世帯に対する住宅ローン控除は、全体として縮減される中で、現状維持とされました。

なお、子育て世代とは「19歳未満の子を有する世帯」のことであり、若者夫婦世帯とは「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」のことです。

ペアローンと住宅ローン控除の取り扱い

ペアローンとは、共働きの夫と妻が、住宅を共有持分として、それぞれ住宅ローンを組み、夫婦合わせて2本の住宅ローンを借り入れる方式です。

ペアローンでは、どちらもが相手方の連帯保証人となったり連帯して債務を負うことなります。そのことで、単独の年収では融資希望額に満たない場合であっても、二人の与信を合わせることでより多くの住宅ローンを組むことが可能になることが多いです。

なお、それぞれの共有持分と住宅ローンに応じて住宅ローン控除を受けることが可能です。

子育て世帯、若者世帯に該当すれば夫婦どちらも上乗せが可能

では、夫婦が子育世帯、若者世帯に該当する場合、住宅ローン控除の上乗せはどのように取り扱うのでしょうか?

これは、夫婦どちらもが住宅ローン控除の上乗せ措置の適用を受けることができます。

なお、扶養すべき子供がいる場合、夫婦どちらかしか扶養親族として扶養控除を受けることができません。

ですが、この住宅ローン控除の上乗せ措置については、対象となる19歳未満の子供が一人しかいない場合であっても、夫婦どちらもが、住宅ローン控除の上乗せを受けることができ、借入限度額はそれぞれ最大5,000万円までとなるのです。

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