敷金の預り証に収入印紙は必要なのか?|謎だらけの不動産取引の印紙税
税理士でもよくわからない不動産取引の印紙税
そもそも印紙税は、税理士法の適用対象外でもあり、私を含めて印紙税の取扱いに悩む税理士は多いはずです。
特に不動産の売買や賃貸に係る取引について、その書面、取引内容ごとに課税対象、課税対象外とされる理由が今ひとつわからないケースが多々あります。
謎の多い不動産取引の印紙税ですが、今回は不動産賃貸取引で預かった敷金の「預り証」に貼るべき収入印紙について見てみることにします。
不動産賃貸契約書に係る印紙税
まず、不動産の賃貸取引について、その合意内容の証として賃貸契約書が作成されます。
このとき、土地の賃貸契約書については、印紙税の課税対象となるのに、建物の賃貸契約書(その敷地の賃貸も含む)については印紙税の課税対象とはなりません。
消費税は、その建物の用途により、事業用であれば課税取引、居住用であれば非課税取引とされますが、印紙税については、その用途は問わず建物の賃貸契約書については、印紙税の課税対象となりません。
では、土地の賃貸契約書及に貼るべき収入印紙はいくらなのでしょう。
土地の賃貸契約書に貼るべき印紙税額については、その契約書に「記載された契約金額」により次のようになっています。
記載された契約金額が | |
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 |
50万円を超え100万円以下 | 1千円 |
100万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
その「記載された契約金額」というのは、どの金額を言うのでしょうか?
土地の賃貸借契約書での「記載された契約金額」とは、権利金その他名称を問わず後日返還されないものをいいます。
ですから、後日返還のされる敷金は含まれません。また、土地の賃貸料も、記載された契約金額に含まれません。
つまり、権利金の授受のない、賃貸料と敷金だけが記載された土地の賃貸借契約書は「契約金額の記載のないもの」に該当し、貼るべき印紙税額は200円となるのです。
なぜそうなるのか。その理由は全くわからないです。
土地の賃貸借契約書に貼るべき印紙税の金額判定の謎
不動産賃貸の領収証に係る印紙税
不動産の賃貸料のやり取りを現金で行う場合には、領収証を発行します。
この賃料の領収証については、土地の地代であれ、建物の家賃であれ、その区別はなく、領収証を発行する側が記載された受取金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。
記載された受取金額が | |
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 600円 |
300万円を超え500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 2千円 |
1千万円を超え2千万円以下 | 4千円 |
2千万円を超え3千万円以下 | 6千円 |
3千万円を超え5千万円以下 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 2万円 |
1億円を超え2億円以下 | 4万円 |
2億円を超え3億円以下 | 6万円 |
3億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 15万円 |
10億円を超えるもの | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
敷金の預り証に係る印紙税
不動産の賃貸契約に伴い敷金を預かることは多いはず。
その敷金を受領したことを証するため「預り証」が作成されることもあります。
では、その敷金の預り証は印紙税の課税対象となるのか?
この敷金の預りは、相手方のために金銭を保管するものではありませんので、敷金の「預り証」は、第14号文書(金銭の寄託に関する契約書)ではなく、第17号の2文書(売上代金以外の金銭の受取書)に該当することになります(基通別表第一第14号文書の3)
預り証|タックスアンサーより
何を言っているのか、正直わからないです。
具体的な印紙税の金額は次の通りです。
記載された受取金額が | |
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上 | 200円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
なお、賃料の領収証にせよ、敷金の預り証にせよ、「営業」に関しないものは印紙税の課税対象となりません。
「営業」とは、利益を得る目的で同種の行為を反復継続すること、つまり継続的な営利活動をいいますので、個人がたまたま私的財産を譲渡したとき等に作成する受取書は非課税となります。
ですが、大家さんとして不特定多数に継続的に賃貸をしていれば、個人であっても営業に関するものとされるでしょう。
ちなみに、弁護士や税理士が作成する領収証も「営業に関しないもの」として印紙税は非課税なんです。私達はどうも「商人」ではないようでして。
セミナー音源No.13:どこまでならOK?税務のさじ加減
9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」
すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を