Gotoキャンペーンの割引に税金はかかるのか?|業務上の利用は意外と悩ましい

Gotoキャンペーンで旅行、飲食業界に復調の兆しも

新型コロナウィルスの影響で壊滅的な影響を受けている旅行、飲食、イベント業界。

それらへの支援のために「Gotoキャンペーン」が実施されています。

「ウィルスの感染拡大につながるので今の時期にやるべきとではない」「いや、今やらなければもう間に合わない」と当初は賛否両論ありましたが、今のところは恐れていたほどは感染者も増えず、経済的には予想以上の成果を上げていると言って良いでしょう。

では、利用者がこれらのGotoキャンペーンで得をした分については、税金はかかるのでしょうか?

そこで今回は、Gotoキャンペーンの支援額についての課税関係をまとめてみることにします。

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Gotoキャンペーンの概要

Gotoキャンペーンの内容については、ご存知かとは思いますがザックリとそれぞれ概要だけをまとめてみます。

(1)Gotoトラベル

・旅行代金の最大50%を国が支援(うち35%分は旅行代金から割引、15%は地域共通クーポンを提供)

・宿泊を伴う場合は最大で一人一泊20,000円、日帰り旅行については一人10,000円

・支援の対象となる滞在日数は最大7泊部分まで(2020.11.17予約以降より)

(2)Gotoイート

・オンライン予約サイト経由での飲食は定額で一人、ディナーは1,000円、ランチは500円の次回使用できるクーポンを提供

・登録した飲食店で使えるプレミアムクーポン(2割相当額上乗せ)を発行

(3)Gotoイベント

・チケット会社経由でイベントチケットを購入した場合、チケット代金を2割引、または2割相当額の会場等の物販で使用できるクーポンを付与

・給付額は最大で一人2,000円まで

(4)Goto商店街

・集客イベントを開催したりプロモーションを行う商店街に対しての金銭的な支援

Gotoキャンペーンの支援額についての課税関係

まず先に結論を言うと、Gotoキャンペーンで国から「支援額」を受け取ったものについては、一時所得として所得税・住民税の課税対象となります。

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

一時所得は次の式で計算がされます。

一時所得=総収入金額ー収入を得るために支出した金額ー特別控除額(最高50万円)

この「一時所得」☓1/2の金額が他の給与所得などと合算されて、累進税率の適用を受けることになります。これを「総合課税」といいます。

一時所得|タックスアンサー

このことは、すでにGotoトラベル事務局が公表した「Gotoトラベル事業Q&A集」の中で明示がされています。

Q131 

Go To トラベル事業を利用して旅行した場合、国による支援額(旅行代金の2分の1相当額)は課税対象になるのか。

GoToトラベル事業は国内旅行を対象に、旅行業者等を通じて、宿泊・日帰り旅行代金の 2分の1相当額の給付を旅行者に対して行うものであり、この給付は税務上、旅行者個人の一時所得として所得税の課税対象となります。

ただし、課税対象になるとはいえ、一時所得については、所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用されることから、他の一時所得(懸賞や福引きの賞金品や競馬や競輪の払戻金等)とされる金額とGotoトラベル事業による給付額との合計額が年間50万円を超えない限り、旅行者個人の課税所得は生じません。

Gotoトラベル事業Q&A集(10月29日時点)

ここでは、Gotoトラベルについて回答がされていますが、制度の趣旨からしてGotoイートもGotoイベントも同様の取り扱いになるでしょう。

プライベートの利用と業務上の利用で課税関係に違いが

原則は「Gotoキャンペーンの支援額は一時所得として課税」で良いのですが、実務上はもう少し掘り下げて、プライベートな利用だけでなく業務上で利用をしたケースについても検討をする必要があります。

Gotoトラベルについては、「観光目的以外」は支援対象にしないという方向の改正をし、法人名義での予約については自粛を求めるようです。

しかし、ホテル側はどんな目的で利用しているかなどわからないし、現実には、個人名義で出張宿泊をされるケースは相当数生じることでしょう。

それに、GotoイートやGotoイベントについては、事業用での使用を制限する理由もありません。

Go To トラベル事業の支援対象とする旅行商品の基準・考え方の明確化について|Gotoトラベル事務局

(1)プライベートでの利用

プライベートな観光目的でGotoトラベルを利用した場合、その支援金額については、一時所得となります。

これは「35%部分」の旅行代金からの割引額からも「15%部分」の地域共通クーポンであっても変わりはありません。

Gotoイートでの次回利用できるクーポンやプレミアム商品券の上乗せ部分、Gotoイベントでの割引額や付与されたクーポンも合わせて一時所得になります。

これらの他、懸賞金やふるさと納税の返礼品も一時所得になるので、それらをすべて合わせた金額が50万円を超える部分については所得税等が課税されるケースもあるとのこと。

現実には、Gotoトラベルでみても一日最大20,000円の支援をもらうには一人40,000円以上の部屋に宿泊せねばならず、それが年間で26泊以上しないといけないことになるので、よほどのことがなければ利用者には課税がされないと考えて良いでしょう。

一時所得というのは、「ラッキーとはいえ儲かったんだから理論上は課税だけど細かいのは課税しなくていいや。でも、極端に多くてあふれたものは課税しますよ」という”所得のごみ箱”のようなものなのです。

(2)業務上の利用

渡し切り出張費

出張の宿泊費については、中小企業の場合、会社でわざわざ予約をするということよりは、出張旅費規程により一定金額を「渡し切り出張費」として支給をするか、個人で予約をしてそれを「経費精算」により会社に請求をすることが多いのではないでしょうか。

宿泊費を渡し切り支給する場合には、その後どこにいくらで宿泊しようが会社は関係がありません。ですから、渡し切り出張費の場合、Goto トラベルについては、会社や個人事業の課税関係に影響はしません。

予約名も個人ですし、その支援額も個人が享受をするので、プライベートな利用と同じで、その恩恵については個人に対して一時所得の対象となるのです。

経費計算

個人で予約をして出張のホテル代や業務上の飲食代を支払ったものを、経費精算を通じて会社が負担をする場合や個人事業主の場合、利用金額から差し引かれてしまうGotoトラベルの「35%部分」や、Gotoイートの「予約クーポン」については、結果的に税金は課税されます。

どういうことかというと、例えば、本来であれば10,000円の出張に伴う宿泊費であったならば、その分、利益の計算上、10,000円が差し引かれます。

それが、Gotoトラベルのおかげで3,500円(10,000円☓35%)安くなったとすれば、利益が3,500円増えることになるでしょう。

利益が増えれば、その分は課税対象となるので、割引額には法人税や所得税(事業所得)がかかるということです。

地域共通クーポンについては、予約者である個人が受け取ります。それで、プライベートな支出をしても、すでにもらった時点で一時所得の対象となっているので問題はありません。

では、その地域共通クーポンを仕事上のミーティングの飲食代など事業用の経費に充てた場合はどうでしょう?

会社に経費精算を求めても、通常はその地域共通クーポン分が差し引かれた金額しか支払わないでしょうから、その分会社の利益は増え、結果的に会社で法人税が課税されることなるのです。

もちろん、共通クーポン分も含めて精算してくれる太っ腹な会社であれば、会社はその支払総額が経費に、個人は地域共通クーポン分が一時所得になります。

その地域クーポンの原資が会社の業務であるので、受けた「経済的な利益」は会社からの給与になるのではという考えもあるのでしょうが、あくまでも会社ではなく国からの補助金なので、給与とはならないのです。(税務通信No.3629)

プレミアム商品券

個人名義でプレミアム商品券を購入し、それを業務上の打ち合わせでの飲食代に利用をした場合にはどうなるのか。

商品券は購入をした時点では、損金や必要経費にはなりません。

その商品券を使用し、業務に関連する経費を支払った時点で損金や必要経費になるのです。

個人で購入をしたプレミアム商品券を使用したからと言って、会社としては、業務に使用したとされる経費についてプレミアム商品券の「上乗せ部分」のみを「お前が得しているのだからその分は支払わない」とはいえないのではないかと。

どんな支払手段であったとしても、経費精算において、会社は商品券使用部分を含めた金額を支払うのであれば、会社ではこのプレミアム部分の使用で得をするわけでもないので、課税関係には影響はないことになります。

個人は、プレミアム部分が会社の経費精算を通じて”換金”されたことになるわけですが、それは一時所得として課税対象にされているので、あとはしらん。プレミアム商品券をプライベートで使ったとしても事業で使ったとしても、別に損も得もないということでしょう。

まあ、複雑なようですが、実は法人や個人事業の所得計算では「支払った金額が損金になる」という当たり前のことを理解していればいいだけのことです。

「支出もないのに損金だけが湧いてくる」ような魔法なんかどこにもないのです。

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