給与所得以外の事業所得・配当所得・住宅ローン控除がある場合のふるさと納税Excelシミュレーション
目次
ふるさと納税サイトのシミュレーションは給与所得のみの会社員を想定
12月に入ると一気に関心の高まるふるさと納税。私のところにも、お客様から「今年はいくらまでふるさと納税をしても良さそう?」というご質問をたくさんいただきます。
ふるさと納税は、「住民税の2割」までであれば自己負担が2,000円となるのですが、実際の計算は複雑です。
このふるさと納税の上限額を計算するためのシミュレーションについては、各ふるさと納税サイトが提供をしているのですが、それらの多くは給与所得のみの会社員を前提にしています。
では、個人事業主や配当所得、あるいは住宅ローン控除がある場合には、いくらまで自己負担2,000円でふるさと納税ができるのか。その計算を可能とするExcelシミュレーションを見つけました。
ふるさと納税の計算の仕組み
ふるさと納税とは、ふるさと納税をした金額から2,000円を差し引いた金額が所得税・住民税が軽減される特例のことです。
所得税・住民税から控除される税額の金額は以下の算式により計算がされます。
(1)所得税からの控除
所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。
*所得税の税率は、あなたの課税所得の階層を見て、最も高い階層に適用される税率を用います。この他に復興特別所得税が加算されます
(2)住民税からの控除(基本分)
住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%
なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。
(3)住民税からの控除(特例分)
(1)住民税からの控除の特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合
住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額ー2,000円)×(90%ー所得税の税率)
(2)特例分が住民税所得割額の2割を超える場合
住民税からの控除(特例分) = (住民税所得割額)×20%
*この場合、すべての控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。
厄介なのは配当所得と住宅ローン控除
ふるさと納税の限度額の計算で厄介なのが配当所得です。
配当を支払う法人で所得について課税がされているのに、その課税済みの利益から配当を受けた個人でさらに所得税が課されるとなると同じ所得に対して二重に課税がされてしまいます。
そこで、配当控除としてそれぞれの合計所得金額により、所得税から控除がされています。多くのふるさと納税シミュレーションではこの配当控除が加味されていないので、配当所得がある場合には要注意と言えるでしょう。
また、住宅ローン控除を受けているとその分所得税の金額が少なくなります。その結果、住宅ローン控除が所得税額から控除しきれない場合、ふるさと納税の金額次第では、住宅ローン控除が満額受けられないことがあるので、注意が必要です。
なお、定額減税は、このふるさと納税の上限金額の計算でも、住宅ローン控除の計算でも影響はありません。
配当所得・住宅ローン控除も計算可能なExcelシミュレーションはこちら
これらの配当所得や住宅ローン控除まで考慮した寄付金上限額を計算したシミュレーションを探していたところ、北海道の中標津町がExcelでのシミュレーションを提供していました。
そちらの関数を確認してみたところ、当たり前ですが計算式に問題なし。概算だと言う割には、住民税の計算もかなり細かいですね。
事業所得・不動産所得や配当所得や住宅ローン控除のある人のふるさと納税で自腹が2000円で済む上限額を知りたい方は、こちらを利用してみてはいかがでしょうか?
まあ、来年度の税制改正では、年収103万円の壁絡みで、基礎控除だけでなく、所得税の控除体系が大幅にいじられそうなので、もうこのままでは使えなくなりそうですが。
また、来年、中標津町には頑張っていただきたい。
なお、あくまでも概算ですし、最終的な所得税・住民税の額は12月末までの所得を正確に把握しないと計算はできません。
それではふるさと納税は間に合わないので、この時点でふるさと納税をする金額については、シミュレーションでの上限の8割程度に抑えておくことをおすすめいたします。
私など、後から必要経費や医療費を入れてみたら、思いのほか課税所得が減って、ふるさと納税がただの”高額な産直品の購入”になることがチョイチョイありますからね。
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