全国旅行支援の法人税・所得税・消費税の課税関係

基本的にはGoToトラベルと同じ取扱い

コロナ禍で大きなダメージを受けた観光業界を支援するため、旅行代金について一部補助がされる「全国旅行支援制度」が実施されることになりました。

ただ、各自治体ごとにその取扱ルールが異なったり、予算枠が宿に直接予約をする場合と一休や楽天トラベルのようなOTA経由のもので分かれていたりと、支援されるべき現場の宿泊施設はかなりの混乱をしているようです。

では、これらの旅行支援により生じた経済的な利益についての課税は、どのようになるのでしょうか。

基本的には、全外のGoToトラベルと同じなのですが、今回はもう一度その取り扱いを整理してみようと思います。

プライベートでの利用であれば一時所得

全国旅行支援の具体的な支援内容としては、その旅行代金の40%相当が割引されます。

ただし、その上限額は、1人1泊あたり、交通付旅行商品は8,000円、その他は5,000円となります。

さらに、現地で使えるクーポン券が、旅行金額に関わりなく、平日であれば3,000円、休日であれば1,000円交付されるのです。

GoToトラベルのときには、その旅行代金の50%、最大で1人1泊20,000円(35%部分は宿泊代割引、15%部分は地域振興券)という支援からみると、ずいぶんと小規模になってしまった感じはします。

GoToトラベルと同様、全国旅行支援により得をした分については、個人に対する一時所得となりますが、一時所得は50万円までは実質的に非課税ですので、この全国旅行支援だけで課税対象となることはまずないでしょう。

出張での利用は注意が必要

GoToトラベルは出張での利用が途中からダメだとなりましたが、全国旅行支援は出張での利用の制約はありません。

では、出張など事業用で全国旅行支援を受けた場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

(1)出張旅費規程により定額払いをしている場合

出張旅費規程に基づき、一泊あたりいくらなどという定額での支払をしている場合には、全国旅行支援をしてもしなくても経理処理に影響はありません。

結果的に、出張をした社員がその全国旅行支援による割引の恩恵を受けることになり、そちらは一時所得ということになるのです。

(2)実費精算をしている場合

実際にかかった旅費に基づき経費精算をしている場合には、会社が社員に対していくら支払いをしたかによりその取扱は異なります。

まずは、消費税の取り扱いですが、全国旅行支援による割引については、旅行業者等が旅行商品の対価の額を割引しているわけではありません。

そのため、会社が計上する課税仕入れの額については、この全国旅行支援による割引後の金額ではなく、割引前の税込金額となります。

では、全国旅行支援による割引額については、どのように処理をするのか。

通常は、割引後の実際の支給額で実費精算をするはずなので、その場合には、全国旅行支援の割引額については、不課税取引として雑収入等で計上することになります。

これは、取引先への手土産を購入する際にクーポン券を利用し、後日、同金額を経費精算した場合の消費税の課税関係についても同様で、割引前の支払金額が課税仕入れの額となります。

上記のように、全国旅行支援の金額は、雑収入として処理がされるのであれば、法人税の課税対象となるということです。

一方で、気前よく、社員に対して、割引前の金額での経費精算をするのであれば、そりゃ、何も儲かってもいないので、雑収入は計上されません。

結果的に、社員は全国旅行支援の恩恵を受けることになりますが、あくまでも会社からの給与ではないので、給与としての課税や源泉徴収の義務はありません。

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