実質一人会社の役員報酬給与所得控除損金不算入規定の政令に思わぬ記載が

ほぼ月刊ワンポイントアドバイス<号外>
<後日訂正分>
法律の趣旨と政令の構成から考えて、下記の記事は誤りであると思われます。
結論は当初予定のとおり、持株要件には役員のみならずすべての親族が所有する部分が含まれるものと思われます。
役員のみに限定されると言う部分は、「常務に従事する業務主宰関連者」の部分のみであり、持株判定の部分にはその限定は及ばないということのようです。
なんとも読みにくい政令です。
謹んで、訂正とお詫びを申し上げます。
平成18年4月1日以降開始の事業年度より一定の同族会社の役員報酬については、その給与所得控除相当額について損金不算入になるということは何度もお伝えしたとおりです。
さて、その一定の同族会社に該当するかどうかのひとつに「業務主宰者(オーナー)など」が一定以上(90%以上)の株式を所有するという「持株要件」を挙げています。
では、「業務主宰者など」というのは誰かと言うのが、本法とは別の政令と言うもので今回明らかにされたのです。
結論から言うと、かなり当初の想定とは異なるものです。
その結果・・・

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詳しくは、政令原文をご確認ください。
その「業務主宰者など」には、業務主宰者の親族など特殊の関係のある人が含まれることになるのですが、それらはすべてその同族会社の役員である人に限定されるようです。
つまりその会社の役員でない親族が10%超の株式を保有することによってこの規制の適用から逃れることが出来るのです。
当初は、他の同族会社の判断規定と同様、役員かどうかにかかわらず対象になると思っていたことを考えると、大いに対応策を講じやすくなるでしょう。
また、「実質的に業務主宰者が支配する同族会社」が間接的にその同族会社の株を持っている場合も、業務主宰者の所有する株式に含まれることは想定されていました。
しかし、ここでもその「実質的に業務主宰者が支配している同族会社」かどうかの判断も「業務主宰者とその親族でその会社の役員であるものが」90%以上その同族会社の株式を保有しているかどうかで判断するのです。(ややこしいですね)
もう少しわかりやすく説明すると、業務主宰者が80%所有し、その妻(Y社の役員ではありません)が20%を保有する同族会社Xがあります。
さらにそのXが15%、業務主宰者が直接85%所有する同族会社Yがあります。
その場合には、まず同族会社Xの業務主宰者の持株比率は90%未満(80%)であるため、このX社は「業務主宰者が実質的に支配する会社」にはなりません。
そうなると、同族会社Yの業務主宰者の持株比率は直接所有する85%のみなのでたとえY社で業務主宰者が役員報酬をもらっていたとしても、持株基準90%を下回るため、この稀代の悪法の影響を回避できるのです。
xykaisya

◆注意点
ただし、いくら身分上役員ではないとしても、5%超の株式を持ち、主要な意思決定に参画しているなどの要件に合致すると「みなし役員」と言う認定を受ける場合があります。
また、その同族会社の株価が高い場合には、役員でない親族に株式を贈与した場合には、贈与税が、譲渡した場合には譲渡所得税がかかる可能性があります。
◆利用可能と思われる人
つまり、資産をあまり抱えていな不動産管理会社ような人事業承継の観点からたとえ贈与税等の負担をしても出来るだけ早く、事業後継者に株式を移転しておきたい人は、今まで想定されていた手法のほかにこれらの手法が使えるかもしれませんね。
とりあえず、政令を読みながら取り急ぎ書いたものです。
詳細は必ずご自身でご確認の上運用してください。
クライアントの皆様には、以前お送りした「速報版」対策レポートにこの部分を書き加えた「確定版」対策レポートを完成次第お送りいたします。

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実質一人会社の役員報酬給与所得控除損金不算入規定の政令に思わぬ記載が” に対して4件のコメントがあります。

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    先生、早!
    まだ自分では確認できていませんが
    役員のみであるのならば、大分
    対策がねりやすいですよね。
    早速、原文読んでみます。

  2. 吉澤です より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    役員も含まれるという御意見もありますので一緒に議論しましょう!。

  3. 一柳 毅 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    そうですか、
    >役員のみに限定されると言う部分は、「常務に従事する業務主宰関連者」の部分のみであり、
    素直に読むと、先生の当初解釈となりますよね。なんてわかりにくい。
    ところで、新設法人についての適用ですが、72条の2 9項に記載がありますが、全ての新設法人が適用対象になるということでなく、1期目の所得+業務主宰役員の要件で判定ということでしょうかね?
    あと業務主宰役員ですが、例えば代表者が何名かいる場合。
    顧問先にあるのですが、父、長男、次男の3名が代表権を持っていて、それぞれ社長、専務、常務と名乗っていて、実態として業務を主宰しているのが1名と断言できない場合なんかは、給料の多寡で判断でしょうかね?
    それとも社長なんでしょうかね?
    同じ内容、メ-ルもさせて頂きました。

  4. 稀代の悪法は条文まで稀代の悪文でした

    さて、ブログ更新魂に火をつけたのがやっぱり、稀代の悪法・特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入。この政令が、3月31日付の官報で発表されましたが政令の文章がひどいのなんのって・・・国語のセンスのある人・まともな人ほど、読み誤りやすいのでは?と思い…

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